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既存不適格建物の売却時は注意点が多い!知っておくべき対策を解説

不動産売却に関する情報

代表 原山  昌之

筆者 代表 原山  昌之

不動産キャリア25年

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「既存不適格建物を売却したいが、何に注意すればよいのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。建物の状況によっては、売却時に思わぬトラブルや不利益が生じることも少なくありません。本記事では、既存不適格建物の定義や売却時の注意点、さらに適切な対応策まで分かりやすく解説します。この記事を読むことで、大切な不動産を安心して売却するための知識が身につきます。

既存不適格建物とは何か(定義と概要)

既存不適格建物とは、建築物が建てられた当時は法令に適合していたものの、その後の建築基準法の改正によって現行の法令には合致しなくなった建物を指します。たとえば、耐震基準が1981年に改正された「新耐震基準」以前に建築確認を受けて建てられた建物は、旧耐震基準とされ、現在の基準には満たない可能性があります。

そのような状態が生じる背景には、耐震基準の強化や接道義務(幅員の変更)、建ぺい率・容積率・高さ制限といった用途地域の変更など、多岐にわたる法令改正が挙げられます。

では「既存不適格建物」と「違法建築」とはどう異なるのでしょうか。違法建築とは、建築当初から法令に反している建物や、無許可の増改築などにより違反状態となっているものを指します。一方で既存不適格建物は、建築当時には適法であり、その後の法改正によって不適格になったもので、法的に違法ではありません。

また、現時点で既存不適格であっても、増改築や建て替えを行わず現状のまま使用する分には特段の法的制約はありません(建築基準法第3条第2項)。ただし、著しく保安上危険あるいは衛生上有害であると行政が判断した場合には、除却や修繕、使用制限などを命じられる可能性があります。

以下の表に、定義・発生原因・違法建築との違いについてまとめます。

項目内容
定義建築当時合法だったが、現在の法令に適合しない建物
主な発生原因耐震基準の改正、接道義務の強化、用途地域・建ぺい率の変更など
違法建築との違い建築当時に違法か否かが判断基準。既存不適格は当時合法、違法建築は当時から違法

既存不適格建物を売却する際の主な注意点

既存不適格建物を売却する際には、いくつか重要な点に注意を向ける必要があります。ここでは、法的側面や取引上のリスクをわかりやすく整理してご説明いたします。

注意点 内容のポイント 影響
買主への告知義務 既存不適格であることをきちんと説明する必要があります。 説明を怠ると売買契約の無効や損害賠償のリスクがあります。
住宅ローン審査と担保評価 金融機関によっては融資が通りにくく、担保価値が低く評価されます。 買主が融資を利用できず、自己資金のみの購入となる可能性があります。
活用制限の影響 再建築や増改築の際、現行法に適合させなければならず、床面積が縮小することもあります。 将来的な利用の幅が狭まり、買主にとって魅力が低下します。

まず、売却時には必ず買主に「既存不適格建物」である旨を明示しなければなりません。この告知を怠ると、あとで売買契約が無効になったり、損害賠償を請求されたりする可能性がありますのでご注意ください。

次に、金融機関においては既存不適格建物は担保評価が低くなりがちで、住宅ローン審査が通りにくい傾向にあります。このため買主が現金購入に限られてしまうことも少なくありません。

さらに、再建築や増改築を希望する買主にとって、既存不適格建物は大きな制約となります。現行の建築基準法に適合させる必要があるため、床面積が小さくなるケースもあり、活用の自由度が制限されることがあります。

売却を進める際に検討すべき対応策

既存不適格建物をそのまま売却する場合、さまざまな制約があることが知られています。そのため、売却を進めるには以下のような対応策を検討することが有効です。

まず、「減築などによる是正」を検討する方法があります。法改正により現行の基準に合わなくなった部分を、建ぺい率や容積率に応じて縮小することで、通常の中古物件として売却しやすくなります。この対応により、住宅ローンを利用しやすくなるなど、買主にとってのハードルが下がります。

次に、「現金購入可能な買主を想定した売却」です。既存不適格建物の場合、金融機関によってはローン審査に通りにくいため、現金での購入が可能な買主を対象に販売することにより、売却がスムーズになるケースがあります。

さらに、「古家付き土地として」または「更地として」の売却方法があります。それぞれのメリットや注意点は以下のとおりです。

売却形態 主なメリット 主な注意点
古家付き土地として売却 既存建物のまま活用希望者(リフォーム・住居用など)に訴求できる 取り壊し費用を買主に負担させる場合、価格設定に工夫が必要
更地として売却 通常の土地として扱えるため広い買い手に訴求可能 解体費、固定資産税の特例喪失による税負担増に注意が必要

古家付き土地として売る場合、築古の家を一定規模内でリフォーム可能と考える買主には魅力的ですが、取り壊し費用を買主が負担することも多く、価格設定には注意が必要です。

一方、更地にする場合は、建物の制限がなくなり、土地本来の価値が評価される可能性があります。ただし、固定資産税の軽減措置が受けられなくなり税額が大幅に増加する点に加え、解体費用がかさむ点を考慮する必要があります。

以上のように、既存不適格建物を売却する際には、是正による法令適合の可能性や資金調達の状況を踏まえ、最適な売却形式を見極めることが重要です。

売却を成功させるためのポイントまとめ

既存不適格建物の売却には、いくつかの工夫が必要です。成功させるためのポイントを以下に整理いたします。

ポイント 具体例 備考
複数の方法で相場を把握 周辺の取引事例、評価機関の資料、類似物件の情報を参照 「複数社査定」は記載不可ですが、情報源を増やすことが肝要です。
価格設定と表示の工夫 割安感や立地の魅力(駅近・生活環境)を強調 魅力を丁寧に伝える表示を心がけます。
適切な相談先の確保 建築士・行政窓口との連携、法務や税務の専門家への助言 専門家への相談を促し、安心感を提供します。

まずは、相場を把握するために多様な情報源を確認しましょう。例えば、自治体や公的機関の資料、近隣の取引例などを参考にして、現状の市場感を理解することが重要です。それにより、売主様自身が相場感を持ち、適切な価格設定の判断を下すことができます。

次に、売り出しにあたっては「割安感」を持たせつつ、「立地の魅力」や「住環境の良さ」などを強調すると有効です。既存不適格である点については正確に買主に伝える一方、魅力的な側面をきちんと表示して訴求することが肝要です。

加えて、建築基準法上の制約や再建築の可否などの不安点には、建築士や行政へ早めに相談する体制を整えることが大切です。場合によっては法令上の例外措置や、適切な説明により買主の不安を和らげることも可能です。また、必要に応じて法務や税務の専門家の助言を得て、安心できる売却プロセスを構築しましょう。こうした対応が、信頼につながり、売却成功への大きな支えとなります。

まとめ

既存不適格建物は、建築当時は問題なかったものの、法改正などにより今の法令に適合しなくなった建物を指します。売却を考える時は、買主への丁寧な告知や住宅ローンの利用が難しい点、活用用途の制限など、特有の注意点があります。しかし、減築などの是正や現金購入希望者への対応、古家付き土地としての売却など、状況に応じた柔軟な工夫で円滑な取引につなげられます。正しい知識と準備を持つことで、安心して次の一歩を踏み出せます。

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